〒106-0047 東京都港区南麻布1丁目3−7
プレール麻布仙台坂 1階
以下、全て自由診療の内容となります。
根管治療を行う際には、CT、マイクロスコープ、ラバーダム、Ni-Tiロータリーファイル、MTAセメント等を使用して感染の制御と大切な歯の保存を目指しております。
3ヶ月前に他院を受診。右上の奥歯(右上7番)の虫歯治療の延長で神経を取ることとなり、根管治療を受けたが、治療途中から噛む時に痛みを自覚していた。
担当医に何度も痛みを訴え、複数回治療をやり返したが痛みが残ったまま被せ物を装着することを勧められたとのことでした。
以前の担当医からは何度も「根管の数は1本であり、既に綺麗になっている」と説明を受けていたそうですが、CTを撮影すると見落とされた根管が他にも2本ありました。
歯の内部には細菌感染が起こっていると判断し、再根管治療を行うことになりました。
解説
まずは診断について。
保険治療で主に撮影される単純X線撮影のみであれば根管が1本のようにも見えますが、歯根のシルエットや歯の解剖学の統計データから当該歯は複数の根管が存在する可能性が高いことは根管治療の習熟度が高い歯科医師であれば気が付きます。
必要な時にCT撮影を利用できる環境はとても大切です。
当院の根管治療では、患者さまからの特別な申し出がない限り、ご同意を頂いた上でCTの撮影を行います。
死角や見落としに伴う治癒不全(失敗)は結果として患者さまに不利益となると考えておりますのでご理解頂きたく存じます。
(上左:ラバーダムを装着した状態
上右:マイクロスコープ弱拡大の歯の内部)
マイクロスコープを使用すると、歯の内部が明るく鮮明に見えます。
当院ではzeiss社のEXTARO300を使用して根管治療を能率的に、そして的確に進めていきます。
Ni-Ti Fileは柔軟性に優れており、湾曲が強い根管であっても過剰に歯を切削せずに、歯本来の根管の形を損なうことなく清掃することが可能になります。
感染を取り除き、歯を温存するには非常に有用な機材です。
解説
そもそも細菌たちはどこから侵入して繁殖しているのでしょうか?
症例ごとに違うシチュエーションが考えられますが、多くの場合はコロナルリケッジ(漏洩)により 細菌侵入が起こります。この症例も主にコロナルリケッジに起因する感染として理解ができます。
上に2枚の同じ写真を並べました。一枚は患者さま向けに色をつけています。
被せ物が歯と綺麗にフィットしていない場合や歯科材料が歯に対して接着不良を起こしている場合にはその部分(矢印)は不潔となり、細菌たちが侵入して感染を起こします。
このように歯と材料の 隙間から深部へと細菌が侵入することをコロナルリケッジ(漏洩)といいます。
根管治療前後の写真です。
事前のCT通り、見落とされた根管も含めて計3根管の感染根管治療が完結しました。
半年以上も悩んでいた咬合時の疼痛や違和感も消失し、治療が奏功している様子が伺えます。
患者さまの喜んだ笑顔を見るとなんだか嬉しいものですね。
解説
歯と人工の材料との隙間から侵入した細菌が繁殖することにより、歯の内部全体に感染が進行します。
まずは歯科医師の「なぜ以前の歯科医師では治せなかったのか?」を見抜く診断力が必要です。原因を解決すれば、根管治療は必ず治癒の方向に進みます。もちろん技術面も非常に重要です。
大切な歯を可能な限り温存しながら、徹底的に感染を制御する必要があります。
25歳女性。学生時代に多数歯の虫歯の治療を行なったが咬合時に違和感を自覚していた。
今回の受診を機にしっかりとした歯科治療をご希望され、マイクロスコープを使用した根管治療を行うこととなりました。
被せ物(銀歯)は不適合であり、Case1同様にコロナルリケッジが疑われます。
歯の内部に侵入した細菌は慢性的に炎症を引き起こし、根の先では骨が吸収している像が見られます。
骨吸収像は隣の歯まで広範囲に広がり、根の先に相当する粘膜の部位を指で押すと違和感があります。
解説
やはり被せ物の適合性は非常に重要だということがわかります。
上のレントゲン写真の黄色で示した経路から細菌が侵入してきた可能性が疑われ、根の先では炎症反応が起きて骨が広範囲に溶けています。
多忙な看護師の患者様で根管充填から半年が経ってからの歯科受診となりました。
経過のレントゲン撮影をすると、根の先には新しく骨が形成されているのが分かります。医療従事者の患者様なので画像変化に大変喜んで下さり、写真撮影をされていたのが印象的でした。
<⬆︎治療後のレントゲン画像⬆︎>