港区麻布十番の歯科・歯医者「デンタルクリニック麻布仙台坂」のブログです。
歯科医院に来院する理由の上位に挙がる「歯茎が腫れる」という項目についてお話しします。
歯茎が『腫れる』というものには主に3つ理由があります。
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どうして歯茎が腫れるの?
1.歯周病が進行することで歯茎が炎症を起こして腫れる。
2.歯が割れる(折れる)ことで細菌感染を起こして腫れる。(歯根破折)
3.歯の根っこの感染症が起こることによって歯茎が腫れる。(根尖性歯周炎)
これは歯科医院へ通う理由の上位3項目と言っても過言ではありません。
腫れるきっかけになる事柄は違いますが、全てに共通して言えることは『細菌感染』によって腫れているということです。
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それではこの3つについてご紹介しましょう。
1.歯周病
歯周病は、歯の表面にプラークという細菌の塊が付着することで起こる細菌感染症です。
日本人の歯を失う理由の約40%を占め、多くの方がこの歯周病で歯を失っています。
歯周病は痛みを伴うことがあまり無く、気が付いたころには重度となってしまい、抜歯が必要となることもある恐ろしい病気です。
歯周病の怖いところは1本の歯に留まらないということです。細菌に対する炎症反応によって複数の歯の周りの骨が溶けてしまい、奥歯から次々に喪失(抜歯)していく特徴があります。
奥歯を失った方はご飯を食べるたびに前歯に強い負荷がかかるようになります。そうして負担に耐えきれなくなった歯はグラグラ揺れていずれは抜けてしまうのです。
歯磨きをしていて血が出ませんか?
思い当たる方は歯周病かもしれません。歯茎の腫れや出血が歯周病のスタートサインです。
このように静かに進行していく非常に怖い病気なのですが、予防することで多くの歯を救える可能性があるのも本当の話です。
スウェーデンには予防歯科のプログラムをしっかり行った患者さんの30年間経過を追ったアクセルソン先生の有名な論文があります。
そこでは、細菌をしっかりとコントロールすることで多くの歯を救うことが出来ると報告されています。
⬆︎歯周病が気になる方はこちら⬆︎
2.歯根破折
歯に亀裂が入り、割れてしまった状態を歯根破折といいます。
破折面に沿って、細菌は深いところまで直接侵入してしまい、歯の周りの組織に炎症反応を引き起こします。
破折の程度によって治療は異なります。
浅部までの破折であれば歯を温存できますが、深部に到達する破折の場合は抜歯が必要となる場合もあります。
後半では深部におよぶ歯根破折に対する治療を症例を添えてお話しします。
3.根尖性歯周炎
虫歯などで歯の内部まで感染が進んだ場合、または根管治療後に細菌感染を起こした場合は根の先端で炎症反応が起きます。
そこで出来た膿は逃げ道を探して歯茎から排出されることがあります。
⬆︎歯の根本に膿が溜まり、腫れている症例⬆︎
当院では多数の根管治療の治癒実績があり、症例も紹介しております。
詳しくは根管治療の専門ページをご覧下さい。下画像よりリンク可能です。
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このように『腫れる』という症状にも主に3つの経緯があります。
その中で、「歯根破折」に今日は焦点を当てて、内容と治療を詳しくみてみましょう。
*出血を伴う写真を掲載しております*
苦手な方はご遠慮下さいますようお願い致します。
歯根破折
ほとんどの場合、神経を抜いた歯(失活歯)に起こります。
日本人の歯を抜く理由の約15%程度はこの歯根破折によるものです。
<診断>
1.レントゲン
レントゲンで歯を取り囲むような暗い陰影が出ることがあります。
CTも有効で、破折線を確認することも可能です。これは確定診断となります。
2.検査器具によるチェック
歯根破折すると、歯の周りの組織が炎症に伴って脆弱になり崩壊を始めます。
破折の周囲に、深さを測る器具(プローブ)を挿入すると、その箇所だけ10mm以上挿入出来たりする場合があります。
これは歯根破折に見られる大きな特徴で、このチェックにより破折を強く疑うことになります。
<治療>
○浅い位置で割れている場合
クラウンレングスニングという方法やエクストルージョンという治療法で歯を救うことが出来ます。
エクストルージョン
(参考症例)
○深い位置まで割れている場合
深くまで割れていると、上記の方法では感染を制御できないので抜歯が必要になります。
抜歯をすると、骨や周りの組織はどう変化するのでしょうか。
=======*大切なこと*======
歯を抜くとどうなるの?
論文上では、歯を抜くと2年以内に40%~60%厚みがなくなると言われています。
高さに関しても減少すると言われています。
これが前歯の断面図です。歯を骨が支えており、周りには歯茎があります。
歯を抜いた後はまずカサブタのように血が溜まって、そこが数ヶ月の時間を経てゆっくり骨に変わっていきます(クリーム色の部分)。
そのまま位置が変わらなければ良いのですが、現実はそうではありません。
歯を抜くと、骨はだんだん萎縮してしまいます。鏡をみると、歯を抜いた後の歯茎は陥没したような印象を受けるようになります。
そのような状態でインプラントをするとどうなるでしょうか。
歯の先端を同じ位置に計画すると、とても長い歯になってしまいます。
これでは満足度が高い治療とは言えません。
当院では、リッジプリザベーションという骨の高さを温存して歯の長さが変わらないような治療法を提案しています。
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深部に到達する破折が生じた場合、残念ながら抜歯が必要になります。
抜歯をすると、上記のような問題も生じてしまいます。
そこでリッジプリザベーションという治療法をご案内しています。
リッジプリザベーション
抜歯後の骨吸収を防ぐ治療法です。
抜歯した部位に人工骨を填入して、ボリュームを維持する方法となります。
診断結果は「歯根破折」
抜歯が必要になります。
歯を抜いた部分に、人工骨を填入します。
白い膜で覆い、縫合をして治療終了です。
膜には汚れの侵入を防ぐ効果と、骨以外の余計な細胞が内部に侵入するのを防ぐ役割があります。
こうすることで、骨が萎縮することを最小限にすることが出来ます。
症例に応じてインプラントを同時に埋入する場合もあります。
数ヶ月間、治癒を待った後にインプラントを行います。
数ヶ月間、骨が成熟したら実際にインプラントの治療です。
比較してみましょう。
治療後は歯茎の炎症もなく、噛み合わせも良好になりました。被せ物も同時にやりかえています。
インプラント治療は欠損部位を補填するのに非常に有効な手段であり、定期的なメインテナンスとセルフケアを頑張って頂ければとても快適な食生活を送ることが可能になります。
いかがでしょうか。
骨が吸収することを見越して対策することが肝要です。
吸収した後に骨を造成する治療法もありますが、大きな腫脹や切開を伴う場合が多いのが現状です。
リッジプリザベーション自体は腫脹や痛みを助長させる処置ではないので、翌日には痛みや腫れを訴える患者さんが少ないのも特徴と言えるかもしれません。
一つの選択でその後の人生が変わるかもしれません。
「抜歯が必要」と言われた方、一度ご相談ください。
デンタルクリニック麻布仙台坂ではインプラントに関連した参考症例をinstagramにてご紹介しております。ご興味のある方は併せてご覧下さい。
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