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インプラントのために前歯に骨を足す?前歯部インプラントにおける骨造成について

インプラントのために前歯に骨を足す?前歯部インプラントにおける骨造成について

前歯にインプラントをする際に骨を足さないといけないと言われたことはありませんか?骨が十分に足りない場合はインプラント治療の出来栄えが著しく悪くなり、予後が不良になる可能性があります。日本人の骨は非常に華奢であり、特に女性はすぐに骨が吸収して欠如する傾向があります。前歯のインプラント治療をする際は多くの症例で骨を足す必要があるのでこのブログで解説します。

 

1.前歯のインプラントで骨を足した場合と骨を足さない場合で何が変わるの?
2.どうして前歯の骨が吸収して欠如してしまうの?
3.前歯のインプラントにあたり骨を追加した症例
4.そもそも歯を失わないために。インプラントを避けるための前歯の考え方

 

 

1.前歯のインプラントで骨を足した場合と骨を足さない場合で何が変わるの?

前歯を失うと、周囲の骨は吸収して欠如します。骨が減ると歯茎は陥没したような見た目になり、そのまま前歯にインプラントを行うと長い歯が出来上がってしまうのです。ニコッと微笑んだ時に前歯の先端は下唇に軽く触れる程度が美しいと言われており、他の歯とも調和の取れた位置に歯がないと違和感を覚えます。つまり、前歯の先端はインプラントの埋入位置に関わらずに他の歯との調和で決まってしまうのです。

歯を抜く理由は多岐に渡ります。深部に及ぶ虫歯や根の病気、そして歯周病や外傷など。いかなる疾患が原因であったとしても、抜歯を行った際は何の対策もしない場合は必ず骨が吸収します。特に日本人は骨が華奢であるので骨を足すことで長い歯になるリスクを軽減させる必要があります。

 

2.どうして前歯の骨が吸収して欠如してしまうの?

前歯の骨が吸収する理由を知るために体の構造をご説明します。歯と骨は一体化しているわけではなく、歯根膜という血管(血流)を含んだクッションのような構造物を介在して繋がっています。歯に寄り添う骨はこの歯根膜の血管から栄養を得ているので、歯を抜くと血液供給が失われてしまいます。歯に寄り添う部分の骨を束状骨と呼ぶのですが、厚みは約1mmです。血液供給がなくなるとこの厚さ1mmの骨は栄養が取れなくなって消失します。そして怖いことに日本人の女性の前歯周辺の骨の厚みは約1mm程度しかありません。つまり、束状骨を失うということは前歯の周囲の骨は殆ど残らないということになるのです。

 

3.前歯のインプラント治療にあたり骨を追加した症例

前歯のインプラント治療にあたり骨を足すタイミングは2回あります。1度目は歯を抜く時に足す方法です。前述の通り、歯を抜いた後に何の対策もしない場合は骨が消失してしまうので歯を抜くタイミングで骨を填入する方法があります。可能であればそのタイミングでインプラント埋入も行うことが出来れば、高い位置で骨をキープすることが可能になり最も良い治療の結果を迎えることが出来ます。ただし、難易度が高いという欠点もあります。細菌感染によって歯を抜くことになった場合は歯茎が脆弱であることも考えられるので、綺麗に傷を閉じることが出来ずにせっかく足した骨が感染することもあります。インプラントも感染してしまうとリカバリーをする難易度がとても高くなってしまうこともあります。歯を抜くタイミングで骨を足す際は感染に配慮しながら、インプラントの深さや角度を正確にする高い技術も求められます。

 

4.そもそも前歯を失わないために。インプラントを避けるための前歯の考え方

歯を失う理由の第一位は歯周病(約40%)です。次に虫歯(約30%)が来ます。虫歯も歯周病も細菌由来の感染症であるので実に70%は細菌によって歯を失っているのです。つまり、日々のセルフケアと定期的な歯科医師のチェックアップ、そしてクリーニングによって歯は長く健康な状態を保つことが可能です。

ただし、18%程度は破折という歯が折れてしまう問題で歯を失っています。一度神経をとる治療によって被せ物となった歯は他の健全な歯と比較すると8倍破折リスクがあがると分かっています。神経をとった歯に過度な負担がかかり続けると歯が破折してしまって抜かないといけない状況になります。神経を取る治療は多くの場合が深い虫歯の時に必要なります。前述のような虫歯にならない対策と適合がしっかりとした被せ物、詰め物が肝要です。また、神経を取る治療を行う際も再感染防止のためにマイクロスコープを使用した根管治療が推奨されます。前歯は強い力を受けると破折しやすいので、力に対する配慮ももちろん必要です。治療後にはマウスピースを使用する対策が推奨されます。

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