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サイナスリフト

サイナスリフト

  • 2021年2月7日
  • 2024年1月5日
  • 症例

サイナスリフトは上顎洞底粘膜を挙上してインプラントを可能にする骨造成手術です。

 

インプラント治療をご検討の際に「骨量が足りないのでインプラントはできません」と言われたことはありませんか?インプラントは骨に留置するので、骨量が不足しているとインプラントが安定しません。インプラント周囲にはしっかりとした骨が必要です。

 

上顎の奥歯の骨が足りない場合はサイナスリフトをすることでインプラント治療を行うことが可能になります。

 

 

 

<サイナスリフトのイメージ>

 

 

骨造成には術式や部位によって、いくつかの種類があります。本日は上顎の骨の高さを増幅させる「サイナスリフト」という術式を実際の治療ステップも添えてご紹介します。

 

 

サイナスリフトとは

 

サイナスリフトとは、インプラント手術をするにあたって上顎の骨が足りない場合に人工骨を用いて不足している骨を補填する外科手術のことをいいます。

 

通常、上顎の奥歯にインプラントを埋入するには少なくとも8mmの既存骨が必要となります。しかしながら、抜歯をした後の骨の高さを見てみると8mmに満たない症例は非常に多いのが現状です。これは、上顎の奥歯の根本付近には上顎洞という副鼻腔という空洞があり、他の部位と比較して骨の高さが十分に存在しないことが理由として挙げられます。

 

サイナスリフトにおいて、上顎洞粘膜(シュナイダー膜)は挙上されて内部には骨が填入されます。骨は自身の別の部位をドナーとする場合もあれば人工骨を利用する場合もあります。サイナスリフトによって填入された人工骨は数ヶ月から数年かけながら自身の骨と結合して強固な骨を作ります。

 

挙上量が小さい症例であれば、インプラントと同時にサイナスリフトを行うことで3ヶ月程度で噛めるようになります。また、既存の骨が1mm程度しかない症例であれば、サイナスリフトで填入した骨が成熟するのを1年程待つ必要性もあります。担当する歯科医師と治療期間についてご相談ください。

 

 

腫れないサイナスリフト

サイナスリフトに興味があっても、処置の手順を聞くとなんだか怖くなるという方も多いのではないでしょうか。サイナスリフトは外科処置であるという特性上、痛みや腫れが生じることは避けられません。とはいえ、なんとか痛みと腫れを最小限にする工夫はすべきであると感じます。

 

当院では可能な限り腫れの少ないサイナスリフトのために2つの配慮をしています。

腫れの少ないサイナスリフトのために2つの配慮

1.スピーディなサイナスリフト手術
サイナスリフトの手術時間が長くなれば体への負担も大きくなり、腫れやすいと言われています。当院では事前に必ずサイナスリフトのシュミレーションを行い、手術時間を最小化する工夫をしています。

2.超音波を使用した低侵襲サイナスリフト
サイナスリフト手術において上顎骨に穴を開けるときは超音波振動器具を利用して穴を開けます。超音波振動器具は回転切削器具(タービンなど)と比較して組織の挫滅が極端に少なく、体への侵襲が少ないと明らかになっています。侵襲が少ないと炎症反応が強く出ないので腫れは少なく落ち着きます。血管も傷つけにくいので手術中の出血によるトラブルも最小化できるメリットもあります。

 

 

サイナスリフトの治療

 

[インプラントにおける骨造成]

 

実際のサイナスリフトの治療の前に診断が非常に大切になります。

 

「虫歯で歯が崩壊してしまい、歯を抜くことになった」

「歯周病で歯がグラグラして抜けてしまった」

「噛む力で歯が折れた」

 

 

このように歯を抜く理由はいくつかあります。

 

原因を解決するような治療を行わなければ、サイナスリフト手術が上手くいったとしてもインプラント治療後にネジの破損やインプラントの感染などのトラブルを引き起こしてしまいます。

 

 

高い満足度と長期安定する治療の戦略を見極めるために、インプラントやサイナスリフトをする前には口腔内を包括的に診査する「精密検査」というものをご提案する場合があります。

『精密検査について詳しく知りたい方はこちら』

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さて、患者さまそれぞれの口腔内の問題が明確になれば、次はサイナスリフトを含めた治療計画の立案です。

 

 

右上の奥歯が無い症例を参考にサイナスリフトの説明をします。

 

この患者様は右上の奥歯に3本インプラントを追加しないといけません。

 

計画を立てる際は、常にかみ合わせを意識することを心がけています。つまり、力学的に最も安定する位置にサイナスリフトで骨を追加してインプラントを埋入する必要があります。

 

もし正しい位置にインプラントを埋入できていないと、ネジの破損や被せ物の破損を惹起してしまうのです。少しのズレがトラブルを招いてしまうのです。

 

 

 

サイナスリフトを可視化しよう

 

サイナスリフトはインプラント予定部位に骨を足す手術であることは伝わったと思います。

それでは一体、どの位置にどのくらい骨を足すのでしょうか。ワックスアップとCTをマッチングすることで事前に骨の量や骨に穴を開ける位置をシュミレーションすることが出来ます。

 

 

まずは、インプラントの歯が入るであろう位置にワックス(灰色のもの)で形を作り、三次元的な設計図を作製します。これでインプラントを入れた際の噛み合わせや審美性の確認を行なっています。

 

 

次に、しっかりと骨があるのかどうかを確認するためにCTを撮影します。

 

 

 

(⬆︎黄色い線:模型の表面 青い線:ワックスの形⬆︎)

 

 

スキャンカメラで撮影した模型の三次元データ(STLデータ)とCTのデータ(dicomデータ)をコンピュータ上で重ね合わせると、ワックスアップの真下に骨があるかを確認することができます。この際にサイナスリフトで必要な骨量を確認します。

 

マッチングしたデータを参考にして、写真のようにストローマン ガイドという手術サポート用の器具を作製します。

 

ストローマンガイドを利用することで少しのズレも許されない難しい症例であっても正確にインプラントを埋入することができます。

 

 

 

サイナスリフト手術

さて、本題の骨が足りない時のサイナスリフトの話に戻ります。

ワックスアップを参考にインプラントを計画すると、写真のように6mmほど骨の高さが足りないことがわかります。

 

インプラントは最低でも6mm以上のサイズを使用しなければ、予後が悪いとされます。短いインプラントでは歯軋りによる側方への負荷を受けた際の揺さぶられる力に抵抗ができず、長期的な安定が見込めません。

 

サイナスリフトを行うことで足りない6mmの骨を補填することが可能です。他の場所から採取した自身の骨や人工骨が利用されます。頬のあたりに小さな小窓を作って骨を追加します。

 

 

サイナスリフトを行うことで骨量が増加し、同日にインプラントを埋入することもできます。ただし、インプラント体が骨造成なしではグラグラしてしまうような既存の骨が著しく少ない場合では、まずはサイナスリフトを行ってから1年程度の待機期間を設けた後にインプラント埋入を行う場合もあります。

 

 

 

いかがでしょうか。

 

他院様で骨が足りないことを理由にインプラントを断られることもあると思います。

 

しっかりと学術上のルールに則りながら丁寧にサイナスリフトを行うと、難しいケースであってもインプラント治療が可能になることもあります。

 

諦めないでご相談ください。

 

 

 

サイナスリフトのメリット

・骨が足りない位置にもインプラントを行うことが可能となる。

・入れ歯やブリッジなどの治療選択を回避して、インプラント単独で噛めるようになる。

 

サイナスリフトのデメリット

・外科処置が必要。

 

 

サイナスリフトの注意事項

1.術後の疼痛、腫脹

サイナスリフトをすることで入れ歯をせずにインプラント単独でしっかりと噛めるようになります。その喜びは大きなものであり、生活の質を飛躍的に向上させます。しかしながら外科処置を伴うので術後は疼痛、腫脹を伴う場合があります。

 

疼痛は抜歯程度と同等、または比較的軽度となります。

 

腫脹は2,3日後をピークに頬から眼下にかけて大きく腫脹する場合があります。腫脹は1週間程度続くこともあります。内出血が起こる場合もあります。その際は治療直後は頬部が紫色となることがあります。腫脹の消退とともに色調は黄色味を呈するようになり、やがて消失します。

 

 

2.上顎洞炎

サイナスリフトはとても薄い上顎洞粘膜を挙上する手術です。術者は細心の注意を払いながら上顎洞側壁に沿ながら洞底粘膜を挙上しますが、粘膜が破れてしまう可能性があります。部分的に破れた場合はリカバリーが出来ますが、治療の続行が困難な場合もあります。上顎洞粘膜に穴が空いたままの状態では上顎洞に感染が起こる可能性があります。

 

上顎洞炎の症状として、頬部から眼下にかけて腫脹や鈍痛が生じます。発熱を伴うこともあります。また、膿を伴った鼻水がでることがあります。

 

上顎洞粘膜は一度破れても自身の力で修復がされて穴がなくなることがあります(多列線毛上皮という上顎洞粘膜特有の構造は欠如します)。

 

上顎洞炎が治癒した後にもう一度再手術をすることは可能となりますが、治療期間が長くなることは仕方がありません。

 

 

サイナスリフト以外の骨造成術 ソケットリフト

 

サイナスリフト以外にも上顎洞底を挙上して骨量を増加するソケットリフト(クレスタルアプローチ)という方法があります。

 

インプラントを埋入する穴を利用して、その穴から上顎洞粘膜を挙上する方法です。バルーン状に上顎洞底部を挙上して骨補填材を填入します。

 

埋入窩を利用して骨造成をするので外科処置の範囲がサイナスリフトと比較して小規模で済むので術後の腫脹が小さいというメリットがあります。しかしながら、小さい穴から少しずつ手の感覚を頼りに粘膜を挙上するので上顎洞粘膜を穿孔するリスクが高いというデメリットもあります。

 

文献のデータによると、挙上量が4mm以上の場合は頬骨に小さな穴を開けて骨を填入するラテラルアプローチのサイナスリフトが治療成績が良いことが分かっています。

 

 

 

サイナスリフトで使用される骨補填剤

サイナスリフトでは自家骨(ご自身の骨)を使う場合や骨補填剤(人工骨)を使う場合があります。自家骨移植を希望する場合はサイナスリフト予定部位以外の位置に切開を加えて骨を採取する必要があります。

 

文献上のデータからサイナスリフトの場合は骨補填剤のみで行うことで問題はないとエビデンスが示されており、自家骨ではなく骨補填剤を使用するケースが多いです。

 

骨補填剤にはウシ骨を加工してできたBio-ossが多くの文献データもあり、世界中で利用されています。また、炭酸アパタイトから作られた骨補填剤など各社から骨補填剤は販売されています。

 


グラフトレスサイナスリフト

骨補填剤に対して抵抗感がある方にはグラフトレスサイナスリフトという方法を提案する場合があります。骨補填剤を一切使用せずに上顎洞粘膜だけを挙上するサイナスリフトです。

 

人の体の構造として、上顎洞粘膜を挙上するとその空間では上顎洞粘膜の周りにいる骨芽細胞という骨を作る細胞達の影響によって何もしないでもある程度の骨が出来ることが分かっています。どの程度の骨が自然に出来るのかは個人差があるので、インプラント治療に必要な骨量が十分に確保できるのかどうかという不確定要素がある治療法です。

 

当院では挙上量が2mm以内の場合のみに限り、グラフトレスサイナスリフトという選択肢を案内しています。理由としては、挙上量2mm以内ということはインプラントの8割程度は既存の骨に固定を得ることができます。粘膜を破らずに挙上すること自体は、インプラントの埋入と感染を防ぐために必要な要件ではありますが、既存の骨によってインプラントの固定は既に出来ており、新しい骨に依存しなくても良いので、たとえ骨があまり出来なくても大きな問題とはなりません。この場合は粘膜を破らずに挙上するという点のみが重要視されます。

過去の文献では10mm以上の骨が新生したという報告もあります。

 


 

サイナスリフト(上顎洞底挙上術)を行うことでインプラントを諦めてしまっていた部分にインプラント治療をすることが可能になります。これは日頃のストレスを解決する大きな一歩になり、しっかりと噛めることは日々の活力へと繋がります。ただし、外科手術を伴うので注意事項にも留意する必要があります。

 

経験豊富な歯科医師とサイナスリフトの相談をしてみませんか。不安なことや将来の希望をお聞かせください。

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