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歯のセラミックとは?

歯のセラミックとは?

セラミックを用いた歯科治療は虫歯や歯周病の細菌を寄せ付けにくく、透明感もあり審美的にとても優れている特徴があります。

 

「銀歯からセラミックにしたい」という目的で来院された患者さんの診療をご紹介しながら歯のセラミック治療についてご案内します。

 

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セラミック治療

 

昨今は4KテレビやSNSの普及によって視覚的な事柄に対しての関心が強くなり、審美的な要求度からメタルフリー治療をご希望する方が増えています。

 

セラミックとは、無機質を固めたものを指します。つまり、ジルコニアも無機物を固めたものという点ではセラミックの仲間になります。

 

セラミックの中でも細分化がされており、シリカ(SiO2)が含有されているものをガラス系のセラミックスといい、よく話題にあがる「歯のセラミック」というものはガラス系のセラミックを指すことが多いです。

 

それに対してジルコニアはノンシリカのセラミックに分類されます。ジルコニアは非常に硬く、強度に優れた特徴があります。適材適所の対応が必要ですが、金属アレルギーをお持ちの方にはガラス系のセラミックやジルコニアが非常に有効な治療選択肢となります。

 

 


セラミックの種類

セラミックは素材の違い治療法の違いによって種類が分けられます。

 

■セラミックの”素材”の種類

 

ジルコニアセラミック

二酸化ジルコニウムによって組成されるセラミック。よくジルコニアと呼ばれる素材です。非常に強度が強く、欠けることが少ないので奥歯で頻繁に使用されます。

 

非常に滑沢な表面をしているので、摩擦係数が小さく対合歯を磨耗しにくい性質があります。ただし、硬いが故に歯や周囲組織に影響が出やすく、噛み合わせの調整には細心の注意が必要となります。

 

以前はやや青みがかった人工的な色をしていいましたが、最近ではイットリウムの含有量を減らすことにより透明感の高いジルコニアも多く流通するようになりました。

 

これにより、前歯の治療でも重宝されるようになり、治療の応用範囲が広まっています。歯と強く接着すると発表しているメーカーもありますが、臨床の現場ではガラス系セラミックと比較すると歯との接着は劣る印象を受けます。

 

⬆︎ジルコニア⬆︎

 

⬆︎ジルコニアを用いた治療⬆︎

 

 

ガラス系セラミック

長石や二ケイ酸リチウムといったシリカ(SiO2)が多く含まれるセラミックのことを指します。エナメル質と特に強固に接着します。

 

長石系のセラミックは最も天然歯に似通った透明感を表現することが出来るので主に前歯の治療で利用されます。ラミネートベニアとして使用された際には天然歯と見分けがつかない水準まで高い審美性が獲得できる場合があります。

 

同じラミネートベニアであっても医院様の治療水準によって仕上がりはもちろん異なりますので、比較検討が必要です。

 

 

 

 

長石系のセラミックは衝撃に弱い特徴があるので奥歯には不向きの歯科材料であり、歯軋りの力がかかる部位には避けた方が良いと言われています。

 

二ケイ酸リチウム(商品名 e-maxやLiSiなど)はガラス系のセラミックの中でも透明感がありながら耐久性が強い材料となります。奥歯の歯科治療でも用いられる機会が多くなりました。セラミックインレーと言われた場合はこの二ケイ酸リチウムを使った治療を指すことが多いです。

 

⬆︎e-maxを使用した治療⬆︎

 

 

ハイブリッドレジン(レジンとセラミックの混合物)

プラスチックの材料(レジン)にセラミックの粉末を配合したもの。ハイブリッドとは異種の材料を掛け合わせるという意味です。

 

ハイブリッドセラミックと表記する医院様もいますが、これは正確にはセラミックを配合した”レジン”という分類となります。

 

上記のセラミックと比較すると安価である点はメリットとなりますが、衝撃に弱く破折することも多い材料であるので歯科の臨床上は不安が残る材料と言えます。

 

ハイブリッドレジンは被せ物として保険適用で治療することが可能です。ただし、条件が限られるので歯科医院に確認をしてください。

 

 

セラミックの”治療法”の種類

 

治療法その1:セラミッククラウン(被せ物)

セラミックを用いた被せ物の治療法にもいくつか種類があります。

 

 

 

陶材焼き付け鋳造冠(メタルボンドセラミック)

 

1990年代に広まったセラミックを用いた被せ物の治療法のことを指します。貴金属のフレームにセラミックを焼き付けて仕上げたものです。

 

ガラス系のセラミックのみでは強度が不安な場合に貴金属のフレームを用いることによって改善することが出来るようになりました。

 

ただし、金属色を遮蔽するために光不透過性のセラミックを用いる必要があるので、やや人工的な被せ物になる特徴があります。

 

現在では、ジルコニアを用いたPFZが多く流通するようになり、メタルボンドはあまり歯科治療の選択肢として挙げられなくなりました。貴金属の価格変動によって治療費も大きく変動するデメリットもあります。

⬆︎メタルボンド(他院の症例)⬆︎

 

 


PFZ(ジルコニアとセラミック)

審美性と強度を兼ね備えた被せ物。最も審美性が要求される前歯の治療ではまず第一に選ばれる治療法です。

 

Porcelain Fuzed to Zirconiaの略称です。ジルコニアのフレームにガラス系セラミックを焼き付けて仕上げます。奥歯でも前歯でも広く応用されています。工程がやや煩雑なために、価格がやや高いという点がデメリットです。

 

 

⬆︎PFZ⬆︎

 

⬆︎PEZを用いた治療⬆︎

 

 

オールセラミッククラウン

フレームを用いることなく、全てセラミックで作製した被せ物。ガラス系セラミックスのみで作られた被せ物を指すことが多く、ジルコニアのみで出来た被せ物はモノリシックジルコニアクラウンと呼ばれます。

 

 

治療法その2:セラミックインレー、セラミックアンレー(詰め物)

 

セラミックインレー

一部の詰め物。素材の違いによってセラミックインレーやジルコニアインレーがあります。

 

セラミックアンレー

比較的大きな詰め物。こちらも素材の違いによってセラミックアンレーやジルコニアアンレーがあります。

 

 

治療法その3:ラミネートベニア

ラミネートベニア(最も薄いセラミック)

厚さ0.4mm程度のセラミック。エナメル質と強固に接着するガラス系のセラミックが主に使われるますが、ジルコニアを利用したベニアも市場では見られるようになりました。

 

歯の位置関係次第では、全く歯を削ることなくセラミックを接着することも可能です。

 

 

 

 

 

銀歯とセラミックの2つの大きな違い

1:虫歯になりにくい
2:審美性が高い

 

 

虫歯になりにくい

 

 

使用する材料、精度が違うことが一つの理由です。

 

銀歯は保険診療で行うことが出来る歯科治療です。保険診療では皆さんが治療を受けることが出来るように低価格になっています。

 

それに合わせて、材料費も経費が限られているので上質な材料はなかなか使えません。ステップごとに少しづつ誤差が出てしまいやすいのが現状です。

 

 

それに対して、セラミックは各医院ごとにこだわりを持って材料を選定出来ます

 

例えば、型取りひとつにしても寸法安定性という項目が重要になります。型取り用の材料は、口に入れてから固まった後に口から外すときに形が僅かに変化します。また、時間が経つと型取り用の材料は乾燥して寸法が変化する性質があります。

 

セラミックを作製する際は型取り用の材料にはシリコン印象材というものを使用しており、口の中の状態と寸法がほとんど変わらないような工夫をしています。

 

 

また、近年ではDX化に伴って、口の中の状態をスキャンカメラで撮影して、データ上でセラミックを作製する方法も普及しています。あくまで光が届いてカメラでスキャンできる部分しか対応できないので、歯茎の高さより深い位置に虫歯があるような診療の際には少し不向きな性質があります。まだまだ発展途上ではありますが、今後は普及する可能性が高い治療法です。

 

このように、使用する材料をひとつひとつ誤差の少ないものを使用することで高い再現性を生み出し、ピタッとはまるセラミックが出来上がっています。

 

これが虫歯になりにくい秘密の一つです。

 

 

 

 

 

 

虫歯菌や歯周病菌は目では見えないほどにとても小さな細菌です。

 

隙間が空いていると、そこから細菌はどんどん進入してしまい、中では気づかぬうちに虫歯が広がってしまいます。

 

事実、銀歯を外してみると、多くの歯は真っ黒になっており、虫歯に罹患していたりセメントが腐敗していたりします。このような銀歯が長期で口腔内に存在すると、もちろん口臭も誘発してしまうのです。

 

 

 

しっかりと適合のあったピタッとしたセラミックを作ることで、まるで自分の歯が戻ってきたかのようにツルッとした歯を得ることが出来ます。

 

 

 

審美性が高い

セラミックの詰め物を作るにあたり、マイクロスコープを使用しながら虫歯治療を行い、削る量は最小限とし、精密な診療することが大切です。

 

マイクロスコープで細部まで綺麗に整えたセラミックの歯は境が分からないほどに綺麗になり、二次う蝕などのトラブルが少ない歯に変わります。

 

 

セラミックの作製は提携歯科技工所に依頼します。

 

歯科医師と歯科技工士の経験によって、同じセラミックとはいえども審美性や虫歯になりやすさは大きく変わります。

 

 

 

 

 

 

 

その他症例はこちら

 

 

 

セラミック治療は、自然な色調表現が大切になります。

笑った時に、第三者から『人工物』であることに気付かれないような本物の歯に近いセラミックの歯を患者さまは求めています。

 

性別や年齢、お顔立ちや噛み合わせから分析を行い、より自然で綺麗な歯を作ることに需要は高まっているようです。

 

 

「それなりで良い。」

 

「奥歯だから噛めればいい。安い銀歯で良いや」

 

 

 

本当にそうでしょうか。

 

向き合う患者さまが将来も安心できるような歯科治療を目指す責務が私たちにはあると感じています。

 

 

 

 

口腔内は体の中で最も細菌が多いところです。

現実に、歯を失う理由の70%以上は虫歯歯周病の細菌感染症です。

 

 

 

 

一本でも奥歯を失えば、口腔内の崩壊は始まってしまいます。数本失うと加速度的に歯は失くなっていくものです。

 

 

そんな細菌と向き合う過酷な環境だからこそ質を大切にして頂きたい。

 

 

歯には再生能力が無いので、感染した部分は戻ってきません

 

 

このような詰め物では数ヶ月もすると虫歯になってしまいます。

 

せっかく治療したのにすぐに再治療になった時、納得できませんよね。

 

 

 

 

 

虫歯の再発を許さない精密セラミック治療

 

①徹底的な虫歯除去

 

 

マイクロスコープや高倍率ルーペを使用しながら虫歯の取り残しが無いように施術します。マイクロスコープを使用することで20倍以上に拡大して術野を視認することが出来るので『感染した歯』だけを取り除くことが可能になります。

 

セラミックを装着する際に虫歯が残存すると、セラミックの詰め物の下でゆっくりと虫歯が進行してしまいます。治療の際はカリエスチェックというう蝕に罹患した歯質のみがピンクに染まる薬剤を使用して、過不足なく虫歯だけを除去します。

 

 

②歯科医師、歯科技工士の技術も大切

 

 

 

歯科医師が丁寧に形を整えて、歯科技工士がピタッとあった詰め物(セラミックインレー)を作製します。

 

このピタッとはまり、段差が無いといった『適合性』という点が虫歯に対して一番大切な要素です。

 

 

これをセラミック専用の接着剤で接着することで、分子レベルでセラミックと歯が一体化して細菌の侵入を防ぎます。

 

 

 

③セラミックの審美性も配慮

 

 

 

治療の跡が分からないような自然で綺麗なセラミックの治療が求められます。

 

 

「治療してみて良かった」

 

「相談してみて良かった」

 

 

そう言って頂けるように私たちは日々臨床に取り組む必要があります。

 

 

 

せっかく治療をやるのであれば、歯科医院は質で選んではみませんか。

 

 

 

 

 

■セラミックのメリット

・プラークが集積しにくく、虫歯になりにくい。

・見た目が審美的で白さが長持ちする。

金属アレルギーの患者さまの治療に有効。

 

 

■セラミックのデメリット

・歯軋りや食いしばりが重度の方はセラミックが割れるリスクがある。

・セラミックにした後に知覚過敏や咬合時に痛みが出る場合もある。数日や数週間で落ち着くことが殆どであるが、程度が強い場合は歯科医師にご相談ください。

・保険適用がなく、値段が比較的高額となる。

 

 

 

セラミックを用いた症例

症例1 セラミックを使用したラミネートベニア

虫歯が多くて悩んでいた患者さま

 

1年以上前から虫歯が多いことに悩んでいた方に対してセラミックを用いたラミネートベニア修復という治療法で対応致しました。

ラミネートベニアは厚み0.4mm程度の薄いセラミックを歯に接着する方法です。

 

このように歯の広範囲に渡る虫歯がある方には推奨できる治療です。小さな虫歯の場合は、セラミックではなくダイレクトボンディングという修復法をご提案しています。ダイレクトボンディングは虫歯のみを削ることで完結する治療法です。

 

セラミックを用いたラミネートベニア修復治療では、わずかな歯の捻転や高さといった歯並びの問題を解決することも可能です。

 

セラミック矯正という言葉をお聞きしたことがある方もいるかもしれませんが、セラミックを使用して歯の位置が変わったように見える点では同じ意味と解釈が出来ます。セラミック矯正という言葉は学術的な用語ではございませんが、複数の歯を一度に被せ物(セラミッククラウン)にすることによって、それぞれの歯の長さや角度を人工的に修正する治療をさしているようです。

 

セラミック矯正では大きく位置や角度を変えるためには天然歯の神経をとることもあるそうですが、ラミネートベニアの基本はエナメル質という天然歯の表層1mm以下の部分しか歯に侵襲をかけません。

 

薄いセラミックは外れるのではないのかと心配の声もあるかもしれませんが、接着歯学というしっかりとした学問の中でセラミックを最も強く接着させるには最表層のエナメル質が良いことが分かっています。

 

このように歯に最小限の侵襲で強力に接着して、審美的なセラミック治療がラミネートベニアなのです。

 

⬆︎治療前⬆︎

 

⬆︎治療後⬆︎

セラミックを使用したラミネートベニア治療について詳しく知りたい方はラミネートベニアのブログもご覧ください。

 

 

 

 

 

症例2 セラミックと歯科矯正

治療の痕が気になってしまった患者さま

 

他院様にて、これまでに治療を行なってきたそうですが、何度も治療を重ねるごとに治療した材料に着色や形態不良が起こっている症例です。

 

この患者様は前歯の位置が適切ではないために、咬合時に過度な負荷がかかる早期接触という状態が前歯に生じていました。このような前歯は過度な負担によって詰め物が破損しやすくなる場合や、歯根が短くなって歯が揺れてしまう場合もあります。

 

場合によっては顎関節症を引き起こすこともあるので、調和の取れた噛み合わせを獲得することはセラミックの長持ちを考える上でも、歯の健康を考える上でも重要な事項となります。

 

 

当患者様は歯科矯正を行なって歯の位置を適切な位置に移動して、その後に古い治療の痕をセラミックを使用したラミネートベニア修復を行なっています。

 

⬆︎治療前⬆︎

 

 

 

⬆︎治療後⬆︎

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