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プレール麻布仙台坂 1階
歯医者の選び方って難しいですよね。患者さんによって歯医者を選ぶ際に重要視するポイントは違います。
費用が安いのが良いのか、設備が充実している医院がいいのか、コミュニケーションをしっかりと取れる医院がいいのか、技術面が優れている医院がいいのか、もちろん全てを叶えられる医院があればいいのですが、全ての希望を満たす都合の良い歯科医院は日本中探しても簡単に見つかるものではありません。
なぜならば、費用が安い医院は短時間で過度に多い患者さんを診ないと経営が成り立ちません。
必然的に一人の患者さんを診るために使うことができる時間は少なくなり、丁寧な治療をするための時間を作ることは難しいのです。
技術面が優れている歯科医師は、まずは十分な時間を使って患者さんとコミュニケーションをとります。
治療内容を説明したのちに精度の高い機材を用いて一人の患者さんに懇切丁寧に施術をするので、いくら手際が良い歯医者さんでも沢山の患者さんを診ることは不可能となります。よって、単価が高くなるのはある程度は仕方のないことです。
このブログでは、歯医者の選び方に悩んでいる方に対して”都合の良い”歯医者選びではなく、“納得できる”歯医者選びをサポートしたいと思います。
この納得できる歯医者の選び方について、4つの着眼点をご案内します。
漠然と歯医者選びをするのではなく、着眼点をしっかり持つことは大切です。
私は歯科医師という立場であり、仕事やプライベートを含めて沢山の歯科医師や歯科医院を見てきました。そこで、ここは必ず見ておいた方が良いと思う歯医者の選び方のチェックポイントを紹介いたします。
まずは患者さんに直接触れ合う歯医者の人間性というものが最も大切なのではないでしょうか。
世の中には歯科医院に関わる多くの裁判や訴訟が存在します。その中を少し覗いてみると、最も多い内容は何だと思いますか。
実は、説明不足やコミュニケーション不足からくる”不信感”がきっかけになったトラブルなのです。
事前に十分な説明をしていれば、「麻酔が切れた後は痛くなると院長先生が言っていたな、確かに少しずつ痛みが出てきた」となる内容であったとしても、歯医者の振る舞いで不安なことがあったり説明が不足していると「うわあ、麻酔が切れたら凄く痛いよ。やっぱりあの院長先生が失敗したに違いない」と変わることもあるのです。
同じことが体に起こっていたとしても患者さんの感じ方は大きく異なってしまいます。これが歯科医院で起こる最も多いトラブルです。事前に伝えていれば”説明”であっても事後に伝えてしまうと”言い訳”に捉えられてしまうということです。
このようなコミュニケーションに起因するトラブルを避けるために、常にバタバタしている歯医者さんや初回からいきなり治療をしようとする歯医者さんは要注意かもしれません。
何度も歯科医院に行くのは面倒なことでありますし、早く終わらせたいという患者さんの気持ちはとても理解ができますが、初めての通院でいきなり治療を受けるのは少し危険なことだとお伝えします。
初めて通う歯科医院では、歯医者さんの人柄を見極める時間にして頂くと納得した歯医者選びに繋がるのではないでしょうか。
初診の時間として1時間と設定している医院は十分なコミュニケーションをとり、信頼関係を構築したいという医院側の意識を感じます。
どのような治療であってもメリットとデメリットは付き物です。それぞれの治療に対して中立的に説明をしてくれる先生は医療従事者として適切であると考えられます。
患者さんが何を望んでいるのかをしっかりと傾聴して、どのような選択肢が適切であるのかをしっかりと教えてくれる先生を選びましょう。自由診療が比較的高額にはなりますが、長期的な安定や快適さは優秀なものとなります。保険診療と自由診療のメリットやデメリットについてもしっかりと聞いてみましょう。
SNSが普及する現代。歯医者も日々の症例をHPやSNSにおいて紹介しております(もちろん患者様のご同意を頂く必要があります)。
人に見られることを意識する先生はもっと上手になりたいと常に考える傾向にあります。投稿を見て、信頼できる内容や技術であれば信じてみてはいかがでしょうか。
特に、数年の長期経過症例を載せている場合は信頼が出来る先生である可能性が高いです。
この長期経過症例を推奨している理由としては、治療後においても長い期間で患者さんに口の中にトラブルが起きていないという治療後の安心感をまず第一に感じることができます。つまり、歯科医師の技術が高いことを示しています。
また、メインテナンスにいつまでも通いたいと患者さんが自分の意思で思えるような素敵な歯科医院でもあることが推察出来ます。
つまり技術面と患者さんからの信頼度の高さが分かる項目です。これは歯医者の選び方に大きく影響するポイントではないでしょうか。
また、総合力もとても大切であると感じます。専門医同士の密な連携ができた医院であれば問題がないのですが、先生が好きな分野だけを取り扱っている医院様は患者さんに中立的な意見を伝えているのかどうかは少し疑問視する必要があるかもしれません。
例えば、セラミック治療のみを勧める先生や入れ歯治療だけを勧める先生などといった好きな治療分野のみではなく、総合的に紹介してくれる先生を選ぶのが良いのではないでしょうか。
矯正歯科だけを扱う医院や、入れ歯は対応していない医院などもありますので、しっかりと総合的に口腔内を診てくれているのかどうかを比較検討することも重要です。
歯医者の仕事は常に細菌との戦いです。細部へのこだわりで選ぶのもいいでしょう。マイクロスコープや高倍率ルーペは必須と考えて結構です。どちらも持ち合わせていないクリニックは歯科医療に対する熱量はさほど高くないと考えて差し支えないでしょう。
また、インプラントを行うクリニックにおいてはCTスキャンの機器があることは必須事項と考えて頂いて構いません。
一昔前はインプラントは二次元のパノラマ写真だけを頼りに行なっていた時代もありましたが、現在では必ずCTを利用して三次元で骨の状態を把握して手術をするのが当たり前の時代となりました。
根管治療においてはラバーダムも必須事項となります。日本の保険制度では、ラバーダムを利用することに対してお金を頂くことが出来ないので医院側のサービスとなります。
お金にならないのでラバーダムは導入しないという医院が過半数なのです。ラバーダムは細菌感染を防ぐ重要なツールであるにも関わらずに日本の歯科医院でラバーダムの使い方すら知らない先生が大勢いるのが現状です。
『先生、ラバーダムを見てみたいです』と言ってみてはどうでしょうか。その時の表情で歯科医療に対する向き合い方が分かるかもしれません。診療が好きな先生はきっと喜んで見せてくれます。
しっかりと機材が揃った医院を探すことが歯医者の選び方では大切です。
歯科治療には保険適用と保険適用外(自由診療)の治療があります。
一般的には、自由診療の方が最適な治療を行うことが出来るので、質という面では優れています。それは当たり前のことです。
しかしながら、保険診療であっても全然問題がない治療も多数あるのも本当の話です。
一概に『保険適用の治療だからどうせすぐに虫歯になるだろう』と言い切ることはしなくて良いのです。それぞれの治療の良し悪しをしっかりと説明してくれる歯医者を選びましょう。
保険適用でも白い歯を作れるの?そんな歯医者を選ぶのもあり。
様々な選択肢を提供してくれる点は歯医者の選び方として大切なことです。保険適用の治療であっても、ごく小さい範囲の虫歯であれば白いコンポジットレジンという材料で治療をすることが出来ます。
また、被せ物といった治療範囲の大きな治療であっても小臼歯や第一大臼歯(細則あり)において白い材料を用いて施術を受けるることが可能です。保険適用の項目を選ぶと、全てが銀歯になるというのは平成までのお話です。
今では、奥歯の施術においても白い歯の被せ物が出来るようになりました。ただし、ハイブリッドレジンというプラスチックの材料であるので、セラミックやジルコニアとは異素材であり、破損も比較的起きやすい素材であります。
保険適用の白い歯についても説明してくださるかどうかは歯医者選びには大切ではないでしょうか。
歯科矯正やインプラント、根管治療などの分野には専門医制度があります。その道のエキスパートと呼ばれるものです。各専門医制度や認定医制度によって要項が違うので一概には言えませんが、学会に一定期間所属しており、必要症例数を満たしながら学会発表を行った経験があり、学会にお墨付きを頂いた先生方のことを指します。
この専門医や認定医の先生は、その専門分野に対して十分な経験を有しており、各種治療の良い面も悪い面も中立的な意見を話してくださるという面では歯医者の選び方としては良いことだと思います。
ただし、認定医や専門医を取得している先生が優秀かというとそのような意味合いはありません。取得をしていない一般歯科の先生であっても、十分な経験を持ち、患者さんを高い水準で満足させる技術を持ち合わせている方も沢山います。
専門医や認定医というものはあくまで名札のようなものであり、歯医者選びの必須事項ではないように感じます。
経営面が安定しており、従業員のモチベーションが高い医院では離職率が低い傾向があります。
私がこれまでに感じた経験をいえば、従業員がイキイキと働いている医院というものは風通しがよく、コミュニケーションが十分に取れている可能性が高いので、業務上のミスが少ないと感じています。
ミスの多くは、コミュニケーション不足や確認不足によるものであるので、一人一人が当事者意識を持った歯科医院はとても良いと思います。
特にメインテナンスを担当する歯科衛生士は重要なポイントです。せっかく治療が完結しても、メインテナンスの度に歯科衛生士の担当が変わってしまうと不安になりますよね。従業員の定着は歯医者の選び方には大切なポイントではないでしょうか。
長く通う歯医者の衛生環境はとても大切です。ポストコロナの現代では当たり前になりましたが、使用した機材の滅菌やディスポーザブル化は歯医者の選び方として大切ではないでしょうか。
クラスB滅菌という滅菌の仕方はヨーロッパの規格として最も厳格なものです。使用した機材は洗浄されて、滅菌というステップを踏みます。この際にクラスBの滅菌がされているかどうかは重要なポイントです。各医院のHPを見てみましょう。滅菌に力を入れている医院様はトップページに掲載していることが多いと思います。
歯医者を選ぶ際にはどうしても費用面が気になるところです。
事前に費用面を比較検討することも歯医者の選び方としては大切なことです。HPに料金表を掲示している医院を探してみましょう。
ここで難しいポイントがあります。同じ治療であっても、医院が違えば費用が違うという点です。
相場の費用より安いと良心的で、相場の費用より高いと、なんだか通いづらい歯医者のような感じがしませんか。
『同じ治療をするのであれば安い方がいいに決まっている』という考え方は歯医者の選び方としては正しくありません。
費用が高い医院はなぜ費用が高いのでしょうか。これはとても大事な考察内容です。
そこには”需要”があるからなのです。例えば、”高い技術をもった先生”のところには治療を受けたい患者さんが沢山います。
その患者さんがお友達や家族を紹介して、さらに患者さんが増えていきます。そのような先生は設備投資を惜しみなく行い、質が良い治療を提供したいという意識も強いです。また、数々の講習会や勉強会に参加していて自己研鑽も積んでいます。
そうすると、費用が少々高くなったとしても、その先生の治療を受けたいと思うようになるのです。
治療を待っている患者さんが増えると、一般に治療費は上がる傾向にあります。値段の高さは治療に対する自信や医院の人気の度合いをある程度反映していると解釈することができます。
もちろん、中には沢山の患者さんがいるにも関わらずに費用が安く提示されている良心的な医院様もいます。
この場合は、良い歯医者さんに出逢えたかもしれないと思って、一度受診してみても良いかもしれません。
あとは歯医者とお話をしてみて、先ほどの人柄や技術、機材の三本柱がしっかりとしていれば素敵な歯医者さん選びなのだと思います。皆さんの歯医者選びが上手くいくことを願っております。
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