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プレール麻布仙台坂 1階
ラミネートベニアとは歯の表面に薄いセラミックを接着する審美歯科治療です。厚さ0.4mm程度から作製することが可能であり、歯の位置によっては全く歯を削らずにラミネートベニアを作製することも可能です。
主に審美的な要求度の高い前歯で利用される方法であり、歯並びやすきっ歯の改善、古いコンポジットレジンのやりかえ、歯の変色の改善などの目的のために選ばれています。
この写真の中にラミネートベニアがあります。見つけてみましょう。
このブログを読んでくださっている方はもちろんラミネートベニアにご興味がある方なのでしょう。そしてそんな方だからこそ、もしラミネートベニア治療を決断するのであれば決して失敗をして欲しくありません。
今日は、自然に見えて長持ちするラミネートベニアを皆さんが手に入れることが出来るように、ラミネートベニアのメリットデメリットと歯を全く削らないラミネートベニアの光と影に迫りたいと思います。
1.セラミックを利用して作られるので歯に近似した色調や光沢感、テクスチャー(凸凹など)を表現できる。審美的。
2.プラークが停滞しにくいので、虫歯のリスクが比較的少ない。口臭の対策としても有効。
3.歯を削る量が極めて少ない(0.4mm-0.5mm程度)。症例によっては全く歯を削らなくても良い場合もある。(表面を僅かにだけ削った方が接着の面で有利とする意見もあります)。
1.歯軋りが強い患者様がラミネートベニアを装着すると欠ける場合がある。
2.保険適応外であるので費用面が比較的高額となる。
歯の形や色に悩みを持っており、審美性の高いラミネートベニアを検討している一方で歯を削るということに不安感を持っているという方は多いのではないでしょうか。
結論から言うと、上の前歯であればどんな症例でもラミネートベニアは歯を全く削ることなく治療をすることが可能です。
ただし、歯を全く削らないラミネートベニアは歯を削らないことに視点が集中してしまい、肝心な審美性や衛生面が悪くなる場合もあるので注意が必要です。これは、このブログの一番大事なポイントです。
このポイントを軽んじてクリニック選びをしてしまうと、せっかくお金をかけてラミネートベニアを付けたのに歯茎が腫れてしまったり、形が気に入らなかったりするのです。他院様で治療をしたラミネートベニアをやりかえたいと心に決めて当院へ来院される患者様が頻繁にいらっしゃいます。
後悔しないためにラミネートベニアのことをしっかりとご説明します。
まずは、審美性を高く保って、尚且つ歯を全く削らないラミネートベニアのご案内をします。歯の位置と大きさが重要なポイントになります。
歯を削らないラミネートベニアの条件
・矮小歯
・僅かな位置異常(捻転や前後的位置)
実は全く削らずに高い審美性を保つことが出来る条件はごく僅かであることがわかります。多くの場合が僅かに歯を削った方が審美性と衛生面は優秀と考えられます。
歯を削らないことに視点が集中してしまい、肝心な審美性と衛生面が損なわれてしまう場合の紹介です。
歯の位置や大きさが正常である場合、その歯にラミネートベニアをおこなってしまうとダボっとした印象になります。0.4mm程度の非常に薄いラミネートベニアとはいえ、シビアに審美性を評価する患者様や歯科医師にとっては満足度が高い診療とは言えません。
歯茎からの自然な歯の立ち上がりをラミネートベニアが阻害している場合はプラーク(細菌)が停滞するので歯茎が炎症が起こりやすい環境になります。ラミネートベニアをした後に歯茎が腫れて血が出るということは本当によく聞く話です。
これは治療法の正しい選択が出来ていない場合に起こるトラブルです。歯を全く削らなくていい条件は限られたごく僅かなケースのみです。『全く歯を削らないラミネートベニア』なんてキャッチーな言葉に騙されてしまうと後悔してしまうこともあるのです。
歯の位置や形が正常であるのであれば、「必要最小限の歯を削るラミネートベニア」を選択すべきでありますし、歯の位置を気にしている患者様の場合はラミネートベニアではなく、そもそも歯科矯正を選ぶべきなのです。
ところで、「削るとか削らないとか判断基準は何ですか?僅かな位置異常という表現では分かりません」と言う質問もよく耳にします。後半のラミネートベニアの治療手順でその判断基準を説明しますのでお付き合いください。
ラミネートベニアは短期間で美しい歯に変わりますが、症例の見極めが間違っていると「歯の表面に異物を置いて不衛生な環境にした」だけになってしまいます。適切な治療法を選ぶことが出来れば、衛生的で審美的なラミネートベニア治療が可能になります。
高い満足度には患者様の理解度がとても重要となるので、当院ではしっかりとご説明することに努めております。大切な前歯の治療はメリットもデメリットもしっかりと説明してくださる経験豊富な歯科医院で受けて頂きたいと思っています。歯医者の選び方も大切ですね。
実際に症例を見てみましょう。
症例1
○患者情報
30代男性
これまでに他院様において複数回の前歯の歯科治療を行なってきたが、色や形が気になるとのことでした。ラミネートベニア治療に興味を持っており、相談のためにご来院されました。
歯には複数の施術を行なった痕があり、保険の材料(メタルやコンポジットレジン)を使用しているので色の不調和を認めます。
この方は中心位のずれという噛み合わせの乱れがある状況でしたので歯科矯正も同時に行なっています。
歯科矯正とラミネートベニアを用いて、咬合および審美面の改善を図りました。
⬆︎治療前⬆︎
⬆︎治療後⬆︎
咬合が安定すると、ラミネートベニアが破損せずに長持ちします。また、虫歯や歯周病にも罹患しにくい環境になるので歯も長持ちします。
大切な歯のために、患者様の将来を見据えた方針をご提案したいと考えています。ラミネートベニアを考えている方は、精密検査を行って包括的に口腔内の状態を把握することはとても大切かと思っています。
症例2
○患者情報
30代女性
1年ほど前から歯が黒くなっていることが気になるようになったとのことでした。虫歯治療とラミネートベニアに興味を持ってご来院されました。
既往歴:食道癌(手術、放射線治療、化学療法)
このように広範に渡る虫歯にはラミネートベニアが有効です。
虫歯になった経緯も理解することに努め、虫歯になりにくい環境を患者さまとともに作りあげる必要があります。
1.問診、検査
まずは患者様が何を求めて歯科医院に来ているのかを把握する必要があります。ラミネートベニアが綺麗に維持されるには口腔内の衛生環境と咬合の安定が非常に重要なポイントになります。
口腔衛生環境が思わしくない場合は、施術後に虫歯になったり、歯周病が重篤化する場合があります。そのようにならないためにセラミック治療の前に歯科衛生士の定期的なクリーニングとセルフケアの徹底が必須条件となります。
当院ではPMTCという歯科専用の器具を用いて歯がツルツルで歯周病や虫歯に罹患しにくいクリーニングを提案しています。
また、咬合の安定も非常に大切な条件です。噛む位置がずれてしまう噛み合わせや左右のアンバランスや歯軋りなど噛み合わせの不調和がラミネートベニアのみならず被せ物や天然歯を崩壊へと導きます。咬合が不安定な方は精密検査をご提案して、調和が取れた噛み合わせをご提案する場合があります。
2.ワックスアップの作製
審美歯科というものは良し悪しが非常に主観に左右される分野です。ワックスアップを作製することによってラミネートベニアがどのような形で出来るのかを事前に可視化することが可能です。このステップを挟むことよってイメージ違いというトラブルを未然に防ぐことが可能になります。
また、ワックスアップは歯を削るのか削らないのかを判断する材料になります。ラミネートベニアは厚みが0.4mm程度であるので、灰色のワックスから0.5mmを削った先が黄色い石膏であれば歯を削ることになりますし、灰色のワックスから0.5mmを削った先も灰色のワックスであれば歯を削らなくてもラミネートベニアをすることが出来るという判断になります。
3.形成
ワックスアップから逆算をして最小限の量で歯を削ります。歯の位置によっては全く削らずにラミネートベニアを装着することも可能になります。形が整ったらシリコン印象材という精密な材料で型をとり、ラミネートベニアの作製を行います。その日は仮歯を装着してからご帰宅して頂きます。
4.ラミネートベニア装着
出来上がったラミネートベニアを装着します。ラミネートベニアは僅か0.4mm程度の薄いセラミックの歯ですが、歯のエナメル質と非常に強固に接着します。
薄ければ取れやすいという認識は実は間違っています。歯を大きく削ると象牙質という層まで到達します。象牙質は無機質が30%程度、有機質が約70%あるので接着には不利になるのです。無機質とセラミックは非常に強固に接着しますが、有機質の含まれる量が多くなると外れやすくなることは研究でも明らかになっています。エナメル質は無機質97%であるのでセラミックの接着と非常に相性が良く、ラミネートベニアが取れにくいという特徴があります。
いかがでしょうか。
ラミネートベニアは審美面を改善する非常に有効な方法です。メリットやデメリットを比較検討して、ご検討ください。