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前歯のインプラント

前歯のインプラント

  • 2022年4月22日
  • 2024年7月16日
  • 症例

失った前歯を補う方法の一つであるインプラント。インプラントという言葉はよく耳にしますが、人はどのようなシチュエーションで歯を失ってしまい、失った部分はその後どうなってしまうのか。

 

噛むことや見た目にも大きく影響する前歯のインプラント治療。このブログでは、日本人が歯を失う原因の上位4項目について解説を行い、それぞれの原因に則したインプラント治療についてご紹介します。

 

歯を失う4つの原因と前歯のインプラントへの配慮

 

まずはどのような原因から歯を失うのでしょうか。8020推進財団が公表した歯を失う原因を参考にして、前歯のインプラントに対してどのような配慮が必要であるのかを解説致します。

 

『歯を失う4つの原因』
1.歯周病

2.虫歯
3.歯根破折(歯が折れる)
4.その他(矯正治療のための抜歯など)

 

 

歯を失う原因その1

「歯周病」

歯周病と前歯のインプラント

 

日本人の歯を失う原因の約4割は歯周病であると言われています。

 

成人の2人に1人が歯周病に罹患しているとされており、重度になると歯肉は腫れたり、歯がグラグラするようになり、最終的には歯を抜かなければいけない状態となります。

 

当院では、可能な限り天然の歯を残す方法をご提案ておりますが、歯を失った部分はインプラントなどの欠損補綴治療で補う必要があります。

 

前歯は骨が薄く、根も細いので一度歯周病に罹患すると、奥歯と比較して短い期間で歯がぐらぐらしてしまう部位であるので早期発見、早期治療が必要です。

 

重度歯周病によって抜歯をすることになった場合、前歯のインプラント治療で困ることは骨量不足に起因する審美障害インプラント周囲炎の2点です。この2点は歯科医師と患者様を本当に悩ませる項目です。

 

重度歯周病の方が前歯のインプラントで困ること「審美障害

歯周病に罹患すると、炎症によって骨は喪失します。重度歯周病の方の場合は複数歯に渡って骨を喪失している場合も多々あります。私たちが前歯を作るときに一番最初に決める部分は前歯の切縁(先端)であるので、そこを基準に歯の長さが決定します。

 

 

 

人は11mmを超えると「前歯が長いなあ」と感じるようになります。少し長い程度であれば許容範囲内として受け入れられますが、14mmを超える歯になると、あまりに長い前歯と感じてしまうので、歯茎を模した色の人工物でカモフラージュする必要性も生じます。

 

このように重度歯周病の方は前歯をインプラントにする際に審美面に対する配慮が重要になります。

 

 

重度歯周病の方が前歯のインプラントで困ること「インプラント周囲炎

歯周病によって前歯を失った方は口腔内に歯周病菌がたくさん存在します。インプラントは非常に予知性の高い治療ではありますが、インプラント周囲に歯周病菌が長期停滞するとインプラント周囲炎を起こします。インプラント周囲炎が起きると、インプラント周囲の粘膜が腫脹するようになり、骨も溶けることがあります。

重度歯周病の方は、インプラントの前に歯周病の治療を重点的に行う必要があります。インプラントが感染しないように菌数をしっかりと減らさないといけません。当院では、全歯の周囲に何%のプラーク(細菌)が付着しているのかを確認するPCR(Plaque control records)検査を行なっております。前歯のインプラントを行う際には10%以下の状態を保つことを必須事項としています。

インプラント治療はしっかりと手順を踏み、メインテナンスをすることでしっかりと噛むことが出来ます。しっかりと不安なく噛めることは生活にハリと豊かさを与えてくれます。ただし、口腔衛生環境が思わしくないと困ったことも起きるのも現実です。いつまでも安心して過ごすことが出来るように私たちがサポート致します、一緒に頑張りましょう。

 

 


歯を失う原因 その2

「虫歯」

虫歯と前歯のインプラント

 

歯を失う理由の約3割は虫歯と言われています。歯周病と並んで、歯科の2大疾患となります。

 

一度治療をした部位の歯と人工の材料の界面は不潔になりやすいので、治療をした後も引き続き注視が必要です。治療した部分にプラークが停滞すると再度虫歯になり、歯の強度が弱くなるのでいずれは保存不可能となあり、前歯であっても歯を抜く必要性が出てくることもあります。

 

抜いた部分にはインプラントやその他の治療をして歯を補う必要があります。

 

 

虫歯で前歯を失っている方は、隣の歯もまた虫歯で失う可能性もあります。また、虫歯が重度の方は神経をとっている歯(失活歯)が多い傾向があります。失活歯は8倍破折が起こりやすいというデータがあります。一本の歯を失えば、周囲の歯にかかる負担増えてしまうので歯が割れて抜歯が必要になるスピードは当たり前ですが早くなるのです。

 

このように前歯において複数本のインプラント治療が必要とならないためにも虫歯予防が大切です。虫歯によって周囲の歯を失うことがないように私たちがフォローアップします。

 

 

 


歯を失う理由 その3

「歯根破折」

歯根破折と前歯のインプラント

 

歯を失う原因の約7割は「虫歯」と「歯周病」であり、細菌感染症であるということを前述しました。咬合の力によっても歯は失われてしまうのです。

 

咬合力で歯が折れてしまうことを歯根破折といいます。神経を取っている歯は他の歯と比較して水分量が少ないので歯が割れやすくなってしまいます。交通事故などで前歯が折れる場合もこの歯根破折という名前が付きます。

 

私の臨床上の経験において、これまで歯根破折は神経をとっている歯でしか見たことがありません。歯根破折の難しいところはご自身では予防が困難であるという点です。

 

細菌感染の場合は細菌数を減らすことで予防は可能ですが、歯根破折は咬合力によって起こる問題であるので予防が難しいのです。また、特に噛み合わせが悪い方において歯根破折が起こりやすいので、咬合の是正と安定化がとても必要になります。

 


前歯のインプラントは難易度が高い

 

歯を失うことがないようにそれぞれの原因に対して適切な対応がとても必要となります。

 

どうしても歯を失うことになれば、インプラントが必要となります。

 

インプラントは現在では認知度が高くなり、適切な手順を踏めば危険なものではありませんが、前歯のインプラントは審美性と機能性が強く求められる分野であり、非常に高い技術が必要になります。

 

 

 

また、直接的な原因は上記のような虫歯や歯周病といった項目であっても、実際は複合的な問題が併発していることによって歯が喪失していることが多いのです。

 

そのために、前歯のインプラントをする際は一本の歯のみを見るのではなく、衛生的で調和の取れた咬合を構築することが大切になります。

 

 


インプラントのために口の全体を知る

 

インプラントを納得して行うために精密検査をご提案する場合がございます。

 

 

精密検査では、咬合の不調和や多数歯の不良状態から起こる咬合の崩壊を防ぐために口腔を一単位と考え、細菌性の問題や咬合の問題を整理します。

 

後日、カウンセリングにおいて衛生的で長期的な予後の見込める治療内容をご提案しております。これは前歯のインプラントを行うことに対して大切な時間になります。

 

長い将来を考えたお口の中の希望や不安をしっかりとお聞かせください。安心して前歯のインプラント治療を受けることができる環境づくりを心がけています。

 

 

 


インプラントの治療期間

 

インプラントは即日に全てが終わる内容もあれば、10ヶ月以上に及ぶ治療期間を要する内容もございます。

 

インプラント手術の当日に全てが終わる「ワンデートリートメント」という方針で治療を行うと、当日中に噛むことが出来るという大きなメリットがありますが、骨との結合が不十分であればインプラントが揺れて脱落し、手術のやり直しが必要になることもあります。

 

また、インプラントのために骨造成を行なった場合はゆっくりと骨が硬くなるので、一般的な治療期間より比較的長期になることがあります。

 

まずは、ひとつひとつ適切なステップを踏んでいく奥歯のインプラントの一般的な治療期間からご説明します。

 

 

一般的なインプラントに要する期間

 

まずはCTにて骨の厚みと高さを確認します。全身疾患がない場合、十分な骨があればすぐにインプラント埋入が可能です。

 

1本のインプラント埋入手術は1時間程度で終了します。術後1週間で抜糸を行い、3週間から3ヶ月の待機期間が必要です。

 

この期間に骨の細胞がインプラントの溝に噛み込んで強く結合します。年齢やメーカーによって待機期間は判断されます。

 

待機期間が終われば、型取りを行い、インプラントの被せ物が入ります。一般的なインプラントに要する時間は2ヶ月から4ヶ月程度となります。

 

 

 

前歯のインプラントに要する期間

 

奥歯のインプラントと比較して、前歯のインプラントは慎重に進むべきステップが多いので、少しだけ治療期間が長くなります。

 

前歯のインプラントでは2回法という種類のインプラントを利用することが多いのが特徴です。

 

2回法のインプラントは一度粘膜の下にインプラントを埋め込むので2次手術というステップが必要になります。

 

待機期間の後に二次手術を行い、一般的には前歯のインプラントの仮歯を作製します。前歯のインプラントの仮歯を用いることによって見た目の評価や噛み心地の評価を行います。

 

この時に前歯のインプラントの仮歯の形を工夫することで歯茎の形をアレンジすることが出来ます。この仮歯の形を最終の被せ物へと転写することで、細菌の侵入が困難で衛生的なインプラントが仕上がります。前歯のインプラントが噛めるまでに要する期間は3ヶ月から5ヶ月程度となります。

 

前歯のインプラントでは、多くの場合が骨造成を必要とします。インプラントの殆どが自身の骨の中にあり、骨造成量が少ない場合は上記の期間とほぼ同じ時間となりますが、大きく骨造成を行なった場合は半年以上の待機期間を設ける場合もございます。

 

それでは、前歯のインプラントについて実際の症例をご紹介します。

 

 

 

 


前歯のインプラント症例

 

-Case-

 

患者さまは70歳女性の方です。

前歯の歯茎が腫れるというお悩みがあり、前歯にインプラントをすることを希望されて来院しました。

 

レントゲンの状態から歯は破折しており、抜歯が必要な症例でした。

 

CTにて治療の詳細を検討してカウンセリングを行います。インプラント治療にあたり、骨の厚みや高さが重要になります。前歯のインプラントにおいてこの2つが十分な症例はごく僅かであり、多くの症例が骨造成手術を必要とします。

 

 

 

 


前歯を抜くとどうなるの?

 

歯を抜くと、周りの骨は吸収してしまい、陥没します

 

海外の文献では2年以内に骨の幅は40-60%程度が減少するという報告もありますが、日本人の前歯の骨の厚みは特に薄いので、歯を抜いてしまうと大きく見た目を大きく損なうことになります。

 

日本人の前歯のインプラントが難しい一番の原因はこの骨の厚みの問題なのです。

 

 

下の写真は実際に抜歯後に前歯の歯茎が陥没してしまった方の写真です。抜歯後に血流が途絶えた歯の周りの骨(束状骨)は骨吸収を起こして無くなってしまいます。

 

そうすると、このように不自然な見た目となり、前歯にインプラントをするのが困難となります。

 

 

 

 

 

前歯のインプラントを後悔しないために必要なこと

 

このように前歯の歯茎が陥没しないために、抜歯と同時にリッジプリザベーションという人工骨を添加する施術を用いることがあります。

 

抜歯と同時に人工骨を用いて骨を増やす治療をすることで、骨のボリュームを維持することが可能になります。骨の厚みが十分でないと、前歯のインプラントは行うことが出来ません。

 

 

前歯のインプラントにおいてこのステップは非常に重要であり、治療終了後の審美性に大きく影響します。

 

 

 

 

上の写真では、リッジプリザベーションを行った場合(右:当院の治療)と行わなかった場合(左:他院の治療)の比較をしています。

 

どちらも真ん中の前歯2本がインプラントです。左の治療では、骨が陥没したままでインプラント手術を行なっているので被せ物が長い歯になってしまいます

 

それに対して右の写真のインプラントでは歯の長さが周りと調和しており、自然な前歯のインプラントということが出来るのではないでしょうか。

 

 

 

リッジプリザベーションと同様に、最近ではPETという治療法も注目が集まっています。リッジプリザベーションは抜歯した後に人工骨を填入して骨量を維持する方法ですが、PETとは、歯の一部(欠片)を残して人工骨を填入し、インプラント埋入を行う方法です。こちらは歯根膜を一部温存することが出来るので、さらに骨の減少を抑えることが出来るのではないかと期待されています。しかしながら、まだ世界的にも経過症例が多い施術方法ではないので、引き続き注視が必要な項目です。

 

また、インプラントを埋入するには骨が大切であることはお話ししましたが、歯肉のボリュームが足りない場合も臨床上は生じることがあります。その場合は口蓋や上顎結節と行った部位から歯肉移植を行うことでより自然な歯の見え方やメンテナンスのしやすさを産むことが出来ます。

 

 

 


前歯のインプラントには「ストローマンガイド

 

前歯のインプラントにはストローマンガイドという装置も使用して行います。

 

 

 

ストローマンガイド

ストローマンガイドとは、事前に撮影したCTを元に計画したインプラントの角度や深さを高い精度で再現する装置です。

 

口腔内の画像データ(STLデータ)とCTデータ(Dicomデータ)をマッチングすることにより作製します。

 

奥歯のインプラントにおいては、上顎洞までの距離が近い症例や下顎管という大切な神経が近い場合に重宝され、前歯のインプラントでは角度や深さがシビアに求められる症例で使用されます。

 

 

 

骨の量が少なく、角度や深さのズレが許されない前歯のインプラントを高い精度で仕上げることが可能となります。

 

前歯のインプラントの角度が悪いと、歯茎が退縮してしまい歯が長く見える原因となります。他にもインプラントと被せ物の接合部に過度が負担がかかることでネジの破損が生じる場合もあります。

 

 

前歯のインプラントの位置が深すぎると、インプラント周囲炎という骨が溶けてしまう炎症も起こりやすくなるので、非常に高い精度が求められます。

 

少しの誤差が患者さまの一生を左右する可能性があるのが前歯のインプラント治療。このようなリスクが前歯のインプラントのもう一つの難しい点です。私たちは患者さまの人生をより明るくするために、歯科の分野で毎日研鑽を積む責任があります。

 

 

 

無事に前歯のインプラント手術が終了した後は、数ヶ月間仮歯で過ごして頂きます。即時荷重というインプラント当日に噛めるようにする治療もございますが、インプラント当日から数週間は骨との結合が不安定になる時期があるので、最低でも2ヶ月は強い負荷をかけないことを推奨しています。

 

 

 

完成はこちらです。

 

 

 

 

適正なステップを踏むことで審美的で機能的な前歯のインプラントが可能になります。治療期間は前歯のインプラントを埋入してから最短で3ヶ月ほどで完結する場合もございます。歯肉の治り方や咬合の安定を慎重に見てからスケジュールは進んでいきます。

 

 

被せ物(人工歯)にはセラミックやジルコニアといった素材が用いられます。熟達した歯科技工士が多くの写真を参考に他の歯と調和した被せ物を作製いたします。単独のインプラントを使用すれば、フロスも他の天然歯と同じように使用することも出来るので、他の歯と違いが分からないと感じる方も多くいらっしゃいます。

 

いかがでしょうか。前歯のインプラントは高い診断力と技術が必要になります。きっと不安なことも沢山あるはずです。もしかすると、この記事を読んでもっと不安に感じるようになったかもしれません。しかしながら、インプラントは適切に対応すればあなたの将来を明るくする大きな力も持っています。噛める喜びは人生を明るくします。

 

私たちは皆さまの不安に寄り添って、明るい笑顔を見たいと思っています。

 

大切なお体のことを私たちと落ち着いて相談してみませんか。

 

 

 


インプラントと他の治療の比較

 

インプラントと入れ歯

 

 

入れ歯(義歯)には総義歯と部分義歯があります。

着脱式の器具を口腔内に装着して噛み合わせの高さを保ち、噛めるようにします。インプラントは固定式の方法なので、歯科医院にて着脱を行います。それに対して、入れ歯はご自身で毎日着脱を行なってケアをしていくという点が大きく違います。

 

入れ歯のメリット

・保険適応も自由診療も選択可能。費用が比較的安価。

・殆どの症例で歯を削る必要がない

 

入れ歯のデメリット

・咬む感覚は天然歯とは異なるので初めての方は必ず違和感を抱く。インプラントの方が快適さは優れている。

 

 

 

インプラントとブリッジ

ブリッジは欠損した部分の両隣の歯を支えとして、ひとつなぎの被せ物を作製します。インプラントでは両隣の歯に対しての介入は不要なので、この点がインプラントとブリッジの大きな違いです。

 

メリット

・噛んだ感覚は天然の歯と同等。

・保険適用の場合は金属製の歯となる。

 

デメリット

・ブリッジの下は清掃が煩雑。

・天然の歯を削らないと作製できない場合もある。

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